カテゴリー別アーカイブ: ハクダイのブログ

マンガで読むロックの歴史 Paint it Rock を読む

ハクダイは(一応)ロックファン(のつもり)なので、ロックの歴史本も嫌いじゃないです(なんか、歯切れ悪いなあ)。

そんなわけで、今、標題の「Paint it Rock」を読んでいます。

ちなみに、ガイマン賞2014 ←クリックで公式サイト にノミネートされた作品です。

ガイマン賞について上記の公式サイトより引用要約しますと、次のようになります。

「ガイマン(GAIMAN)」とは、アメコミ(アメリカ合衆国)やバンド・デシネ(フランス語圏)、マンファ(韓国)など、日本以外の地域で制作された海外のマンガ全般を指す造語です。
ガイマン賞は、2011年から2014年度まで、これまでに4度開催されております。
 主催は次の3組織。
・京都国際マンガミュージアム/京都精華大学国際マンガ研究センター
・明治大学 米沢嘉博記念図書館
・北九州市漫画ミュージアム

 さて、この「Paint it Rock」ですが、出版元のdisk UNION のサイト に見本というか、本文が10ページほど紹介されていますので、それを見ていただくのが手っ取りはやいです。

 韓国のマンガ(マンファ)について詳しく知らないので、”マンファ”を読む(知る)には良い機会と思い購入に至り、全体の2割程度を読み終えたところです。

 実際に読み始めると、日本人が親しんでいる「ストーリーマンガ」ないしは「コミック」というより、イラストを多用した解説本、という理解の方が適切かもしれないですね。テキストだけを読み進め、テキストの脇に添えられた、テキスト内容に関連したユーモアの効いた1~4コマのマンガを読む、という感覚に近い読書行為になるでしょうか? いわゆる「絵物語」(冒険ダン吉、山川惣治作品など)に近いと理解できるかもしれません(絵物語については、ほぼ素人なので、あんまり当てになりませんが)。

 「技法」なり「体裁」の問題はさておき、ロックの入門書としては最高レベルにあることは間違いありません。まず、情報量が多すぎず少なすぎずで丁度よいと思います。ミュージシャンだけでなくDJやプロモーターなどが果たした役割、そして、(当然ですが)個々のミュージシャンが活躍した時代背景も、丁寧に説明されています。

 まだ全体の2割程度、ビートルズがアメリカで大活躍「ビルボード・ジャック」あたりを読んでいるのですが、既に満腹感がありますね(苦笑)。

Paint it Rock

 

 

『弔鐘・テンゴング/辰巳ヨシヒロ』を読む

前回のブログで紹介した増補版TATSUMI(青林工藝舎)に初めて収録となった本作は、巻末の収録作品解題で浅川満寛(劇画史研究)氏が言及しているように、「締め切りを一週間勘違いし、一晩でほぼ一気に描きあげた」いわく付きの作品です。芳文社/週刊漫画Times/1979年5月4日号に掲載された作品です。

余談ですが、青林工藝舎『大発見』巻末の年譜(作品リスト)には、1967年(昭和42)6月 弔鐘(未完)、との記載があります。ひょっとすると、これが、この「弔鐘・テンゴング」の原型に相当するのかもしれません。

この一晩で描きあげた状況については辰巳ヨシヒロの自著『劇画暮らし』に詳細な記載があります。アシスタント4名と共にまさに綱渡り的に制作した過程が、淡々とした語り口のなかにも、どこかユーモラスなものも感じさせつつ綴られています。幸いにも「コマ割りメモ」は二週間前に出来ていたようで、なんとかかんとか最終締め切りには間に合ったようです。

浅川氏も解題で「そのような状況で執筆されたとは信じがたいほど構成、ストーリー、描き込みとどこをとっても破綻のない佳作である」と、書いているように「締め切りを勘違いして一晩で描き上げた」という「いわく」とは無関係に、文句無しに面白い作品です。

昭和30年代後半(貸本マンガ時代に相当)に自らボクシングジムに通い、ボクシングを題材にした作品を「貸本マンガ」として、子ども向けではなく「大人向け」として明確な意図で以って描いて来た辰巳氏だけに、長年暖めてきた「本当に描きたい作品」であったように思います。

『名作・あしたのジョー』の類似点などをアゲツラウことは野暮というモノであろう。辰巳作品の主人公たちは、何がしかの「苛立ち」「怒り」「不満」「憎悪」などを抱えている事が多いが、合わせて「諦念」も持ち合わせている場合も多いように思う。しかし、本作の主人公「ボクサー・郡司哲也」が抱える「怒り」ないし「敵意」にまとわり付く「諦念」は極めて小さいモノのように思います。

 本作は結局、ボクシングの試合での事とはいえ二人の人間を殺めてしまった郡司の、その後については、描かれること無くエンディングを迎えますが、これについては、浅川氏は「辰巳が好きだった50年代フランスやイタリア」のネオリアリズム映画を思わせるような余韻を残すエンディング」と形容しています。

 尚、本作は扉を入れて全50ページ。扉含めた冒頭の4ページは「カラー」で、締め切りの二週間前に既に入稿となっていた、とのことです。辰巳作品の「カラーページを目にする機会は少ない」というのが実情かと思いますが、雑誌掲載時には、それなりに、カラー部分があったように思います。

弔鐘

辰巳ヨシヒロ『劇画暮らし』の316pより。平成16年(2004年)発行のスペイン語版より転載した扉ふくむ2ページ分です。

 

 

 

「増補版TATSUMI」(青林工藝舎)が届きました。

青林工藝舎から2011年に刊行された「TATSUMI」をボヤボヤしてたら買いそびれてしまった苦い経験をふまえ、今回の「増補版TATSUMI」は早々に青林工藝舎アックスストアから注文し、奥付の発行日より早いうちに手元に届きました。
この本は、これまで単行本に収録されたことのなかった「弔鐘・テンゴング」50ページ(芳文社/週刊漫画Times/1979年5月4日号に収録)が新たに収録されての「増補版」になります。

先日届いた「青林工藝舎アックスストア」の「新刊発売のお知らせ」メールには、「著者が既に鬼籍に入られたため、サイン本も何も特典はありませんが……」とあったので特典は全く期待していなかったのですが、辰巳作品を使った栞(しおり)が5枚も入っていて、紙ものオタク予備軍のハクダイとしては(そちらの趣味に走ると収拾つかなくなりそうなので控えています)、個人的にうれしすぎる「おまけ」でした。

TATSUMI増補 (1)

 

TATSUMI増補 (2)

※右下は、アックス104号辰巳ヨシヒロ追悼号をアックスストアより購入したときについていた栞。残り5枚が今回同梱されていた栞です。

ハクダイにとっては初見となる「弔鐘・テンゴング」の感想については、また日を改めます。

●追記:ハクダイが、「紙もの」を取り上げた過去の記事はこちら

「らくがき。」さんがイラストを手がけた英語学習本を読んでみました。

こんばんは、ハクダイです。

土日が基本休みの生活ですが、平日は火曜日が一番キツいです。休み明けの月曜は半ば寝ぼけた状態のまま仕事を終え、ようやくスイッチが入るのは火曜日。と同時にストレスも高まっていく、そんな火曜の夜です。

話は変わりますが、ハクダイのささやかな趣味の一つに「英語学習」があります。
人様に「英語を勉強しています」と胸を張って言えるレベルではないのですが、中学生の頃から英語の学習は割りと好きなほうでした。
普段、英語を使う機会がほとんどないので、モチベーションを維持するのが大変です。それで、たまに気分転換に新しい学習用テキストを買ってみたりします。

そんなわけで、今回は
「英語にない日本語 日本語にない英語」 宝島社/著(通訳・翻訳家 ノーアム・カッツ)
を買ってみました。

近年、この手の英語学習本をよく目にするようになりました。ハクダイも新聞の広告欄で興味を持つことが多々あります。
「英語にない日本語 日本語にない英語」は、イラストを担当をしている「らくがき。」さんが知人の身内の方だったので、ご縁を感じて購入してみた次第です。

らくがき

ひいきなしで感想を申し上げますと、読み物的な英語学習本としてはとても良く出来ていると思いました。
1981年生まれの著者が、日本の中学生に教わった言い回しを例にあげたりしながら、丁寧に日本語と英語の「相互通訳」を行っています。日本語による正直で分かりやすい解説からは、著者自身の格闘ぶりが率直に伝わってきて、親近感を持ちます。

「らくがき。」さんのイラストも、この本の「親しみやすさ」を大いに後方支援していて、楽しく学習できる内容に仕上がっています。

「らくがき。」さんのサイトのリンクを貼っておきます。

らくがき。公式ホームページ

「ノグソちゃん」というキャラクターが個人的にツボにハマりました(笑)。皆さんもぜひ一度のぞいてみてください。

会員制同人誌、『月刊広場』を読む

知人のOさんから、同人誌『月刊広場』を5冊ほどお借りしてきました。

月刊広場

号数によってページ数が異なりますが、約80~100ページ、A5判サイズです。
今回お借りしたのは2014年2、3、4、8月号、2015年1月号です。

月刊広場とは?(Hatena Keywordより引用)

林捷二郎氏が個人で編集・発行している、漫画や漫画についてのエッセー・研究などの発表の月刊・会員制同人誌。昭和45年創刊。現在、漫画家永田竹丸の連載「わたしの漫画50年」や根本圭助の読物などが載っている。

(残念ながら、借りてきた『広場』の画像は上のリンク先にはないようです。)

ちょうど今、3冊を読み終えました。予想外に面白く拝読しました。
2015年1月号で通巻369号、1970年に誕生という、長い歴史と実績を持つ同人誌であることからもうかがえるように、寄稿される方々の年齢層がハクダイより上、また、マンガの嗜好もおそらく自分とはカブらない気がして、あまり期待していなかったのですが、書き手の気持ちが伝わってくる、読んでいて清々しく感じられる記事ばかりで好感度大でした。

『月刊広場』2015年1月号の目次より、気になった項目を書き出してみました。

虫プロものがたり(小林準治)/1960年年代後半のアニメ界に携わる人々の日常、制作ぶりが活写されています。

まんが鰹節(広中建次)/5pの作品。小学生3年生くらいでも読めるような分かり易い内容で、アニメ「まんが にほんむかしばなし」に通じるようなところもあるのですが、やはり大人向けの作品というべきでしょう。独断と偏見を承知の上で書きますと、まさに「月刊漫画雑誌時代の雰囲気が残っている」。ハクダイとしては文句なしに面白かったです。このテイストにはなかなか出会えません。

ぼくの月刊誌時代(18)「ひとみ」(白井祥隆)/昭和30年代に隆盛を誇り、昭和40年代初めころにはその役割を終えてしまった『月刊漫画雑誌』について、懐かしさと愛情を込めて綴るシリーズ。当時の月刊誌を愛読した子どもたちの生活ぶりが伝わって来るとともに、掲載作品の紹介も詳細で読み応えがあります。

広場2015 (1)

上は2015年1月号の目次。

 

広場2015 (2)

2015年1月号の最終ページ。この同人誌の案内と参加方法が記載されています。

フェイスブックの投稿やツイッターのつぶやきを見ていると、とかく、短いスパンとボリュームで世の中は動いているように思えてきます。この「時間も文字数もより短く簡潔に合理的に」という傾向は、テレビの世界もそうであるように、特に近年始まったわけではないでしょうけれど、それによって得たものがあると同時に失ったものも大きいはずです。
パソコンやタブレットに向き合いWeb上のテキストを追うのと、紙に印刷され製本された冊子で活字を追うのは、表向きは同じ行為ですが本質的には別物だと、古書好きのハクダイは実感しています。
そんな意味でも、ネットに頼らない独自のネットワークで草の根的に続いている『月刊広場』のような紙媒体に敬意を表するとともに、陰ながら応援したくなるハクダイでした。