カテゴリー別アーカイブ: ハクダイのブログ

映画TATSUMIのDVDが届きました

TATSUMI マンガに革命を起こした男 のDVDが届きました。2013年8月に京都シネマで見て、その後、海外版(イギリス版か?)を入手していたのですが、やっと出た国内版を早速ゲットと相成りました。

1935年6月10日が誕生日の辰巳先生、その丁度80年後の2015年6月10日にリリースとなったわけです。

 日本公開日は2014年11月15日と記載があるので2013年8月に、ハクダイが京都で見たのは、正式な公開、では無いのですね(詳細は分かりませんが)。また。次のような記載もあります。

 劇場公開版はR15版でしたが、本作品は無修正のオリジナル完全版を収録しています。

 というか、公式サイトを見てもらえれば十分ですね(苦笑)。

公式サイトへのリンク

TATSUMI_movie (2)

 

パッケージ(表)黄色い方が、今回入手の国内盤、右は海外盤。

TATSUMI_movie (1)

 

パッケージ(裏):黄色い方が、今回入手の国内盤、右は海外盤。

 

 

辰巳ヨシヒロ追悼シリーズ3 爆発寸前

こんばんわ ハクダイです。

今回は、爆発寸前(副題マンモスタンク) 新書判BCベストコミック/ヒロ書房/1964年(昭和39年) 刊行 を紹介します。

爆発寸前

●収録作品

(1)マンモスタンクとして二話分 第一話「ぶっこわし作戦」70p、第二話「爆発寸前」50p

(2)人間蒸発/39p

マンモスタンクは年譜の1964年にある、単行本「ぶっこわし作戦」A5判貸本(第一プロ)、に収録されたモノをそのまま、新書判へ転用したモノと思われますが、オリジナルのA5判に当たれていませんので違っているかもしれません。ページ数はそれぞれ、年譜記載のA5判と同じく70ページ、と50ページなのですが、電車内の吊り広告に「ヒロ書房」のコミック 3月10日」とあったりする事より、若干の修正ないしは大幅な描き直し、があった可能性があります。これは、「第一プロ」を「ヒロ書房」と改名し株式会社化したのが年譜によると1967年(昭和42年)の事からの推測になりますが。

”おれは日本のシャーロックホームズを夢見て探偵屋になったのだが”とうそぶく私立探偵「マンモス・タンク」の活躍を描くミステリーアクションといったところで、彼の事務所には「マンモス・タンク 探偵事務所」とあります。

マンモス・タンクの通称だけで、実際の日本人名は一切出てこず、ワイルドにアゴヒゲを生やしたハンティング帽をかぶった巨漢(身長は推測ですが180cmくらい?)というキャラクターです。

貸本時代の「辰巳アクション」の代表格は「弾丸太郎」になるでしょうが、良くも悪くも「弾丸太郎」が持つ少年ヒーローアクション的な特性は、このマンモス・タンクからは全く感じられません。弾丸太郎は、確認できた分だけでも最低10冊(A5判単行本)が描かれたので、それなりに人気キャラであったかと思われますが、マンモス・タンクは、単行本1冊分として2話分のみが描かれただけのようです。

爆発寸前 (1)爆発寸前

●あらすじ

*マンモスタンク第一話 ぶっこわし作戦 

 地下鉄サブによる車内でのスリの現場に居合わせたマンモス・タンクは、被害者の男より、すられた財布を10万円の謝礼を出すから取返して欲しいという依頼を受ける。財布の中味に秘密があると睨んだマンモスは、依頼者の印刷業者・村奥の身辺を洗い、大規模な偽札作りの計画が存在することを突き止める。はたして、偽札作りの黒幕は・・・・・?

*マンモス・タンク第二話 爆発寸前

 風船売りの男が売り歩く風船の束に、こどもがイタズラし風船を空へ飛ばしてしまうという迷惑な事件が、立て続けに起きる。こどもによる悪質なイタズラかと思われたが、風船の爆発のショックで心臓麻痺を起こして人が死ぬという痛ましい事故が発生してしまう。風船には爆発の原因となる水素ガスが使用されていた。事故死で片付けられてしまったが、事故ではなく、明らかな殺人であると看破したマンモス・タンクを、恐るべき殺し屋が付け狙う。マンモスと殺し屋の対決がスリリングです。風船を使った殺人トリックが面白いです(まあ、現在からすれば、幼稚なトリックで、科学的に通用しないトリックかと思われますが)。

 

*人間蒸発

これは、貸本時代初期(昭和32~34年頃 1957~1959年頃)に描かれた作品のリメイクと推測しますが、オリジナルの特定には至っていません。リメイク後、A5判貸本で一度刊行された後の新書判化(転用)というケースも考えられます。

殺人犯たちによる死体隠しのトリックがポイントになる作品ですが、昭和44年(1969年)という時期を考えれば、いかにも古臭い感じは否めません。オリジナル版を早く特定したいですね(こちらは、結構、読み応えあるハズと確信めいたモノがあります)。

 

忍者シノブさんの純情1巻を読む

読みました読みました。忍者シノブさんの純情。作者の ゆずチリ さんが、福島県郡山市の出身という事でチェックしていた作品で、月刊少年サンデー連載(ゲッサン連載)中で、これが著者初の単行本。正直、中年ハクダイに、面白さが分かるのだろうか?と読む前は心配していたのですが、数十ページで慣れました、作品世界に入っていけました、爆笑しました。

ハクダイ的に、ざっと要約しますと、

  高校2年生のヒトヨシは、クラスメートの「シノブさん」が忍者であることに気付いてしまう。お人好しのヒトヨシと、地味で目立たないけど、実はひっそり可愛くて、忍術が使えるシノブとヒトヨシの関係を描く学園ラブコメです。

なんだけど、リアルな作品のファンには、絶対”違う”といわれそうですね。オジサンは、全然分かってねーなあ、みたいな。

 正直、少年サンデー系は、ハクダイの40年のマンガ読み歴の中では、最も疎遠な部類なんですが、ハクダイの持つ近年のサンデーのイメージを裏切らない雰囲気のマンガでした。

忍者シノブさん_00_s

忍者シノブさん帯_01_s

地元の新聞・福島民報に載っていた記事を知人に教えてもらったことで、作者と作品を知ったのですが、⇒ 記事はこちら 

正直なところ、福島県つながりという事がなければ、9割くらいの確率で読む機会が無かったマンガと思いますが、ハクダイ的には「新しい発見」に満ちていました。笑いのツボ(というのか?)、難しいですよね、個人差もあるでしょうけど、世代間ギャップは間違いなくあるでしょうし。

 現役東大生でもある ゆずチリさんの、今後の活躍を祈らずにはいられないハクダイでした。

マンガと宗教(朝日新聞6月5日の記事を読んで)

6月5日付けの朝日新聞に、 ” マンガに息づく宗教性 「存在の根っこ」求め格闘 「自分を超えたもの」感じる ” という記事がありまして、興味深く読みました。

 宗教者や研究者らが、マンガの中の宗教性に注目している、ということで、幾つかのマンガを取り上げています。

 教義や宗教儀礼とは関係なく「聖なるもの」「実存の支え」などとしての「広義の宗教性」という前提になります。

ここで具体的に取り上げている作品として次の3作品。 

・『リアル』井上雄彦 求道性を帯びている(きゅうどう、と読まずに ”ぐどう”と読む)

・『銀の匙(さじ) Silver Spoon』荒川弘 「もうひっとつの生き方」を探す

・『どんぐりの家』山本おさむ 生の根源を意味する『いのち』そのものを描いている

 「哲学」と「広義の宗教」がどのように違うのか、あんまり理解出来ていないハクダイですが、今更「宗教」という言葉を持ち出すまでもなく、シンプルにこれら3作品は(言うまでもなく)優れた作品だと思う次第。

 ハクダイ個人の感覚だと荒川弘作品なら「鋼の錬金術」の方が「宗教」性は高いし、宗教性の高い作品というなら、ジョージ秋山「捨てがたき人々」あたりになりますでしょうか。51歳でなくなった たかもちげん氏の『祝福王』が広義どころか、どストレートに宗教を描いていましたね。たかもちげん氏は望月三起也氏のアシスタント時代があるのが意外といえば意外ですね。

 

辰巳ヨシヒロ追悼シリーズ2 マンガ編集者タツミ

おはようございます。午前中からブログ更新は初めてかな?

今週はメール(お問い合わせフォーム)経由で、辰巳ヨシヒロ氏が貸本末期に発行人(あるいは編集人)として係わった短編集について情報を頂きました。情報提供してくださったH様には改めて御礼申し上げます。情報概要:『青春』『学園』『鉄人』『女学生自身』の別冊等含めての号数情報。

 さっそく、提供された情報を盛り込んで、内容を一部加筆修正したのですが、改めて、辰巳ヨシヒロという一人のマンガ家の「マンガ」との係わりの深さと広さに驚嘆します。「マンガ」というメディアに、実際の描き手として係わることを手始めに、編集から出版、他のマンガ家の手伝い、そして古書マンガ専門店のリアル店番まで、何でもこなしてきたのだから、凄いモノです。エージェントが仲介するのが一般的な海外での出版に係る「契約作業」も自分で行っていた、というのだから畏れ入ります。

 経済的(生活上)に必要に迫られての事であったという側面もあるのでしょうが、辰巳氏のように、何でもやってしまった人、というのは極めて珍しいケースと言えるでしょう。

 ハクダイは、一度だけですが、経営されていたマンガ専門古書店のドンコミックで”店番”している辰巳先生に「著作への署名」を御願いしたことがあります。若気の至りというやつですが、失礼極まりない事だったかもしれません。辰巳先生は、嫌な顔ひとつせず、サインして下さいました。