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会員制同人誌、『月刊広場』を読む

知人のOさんから、同人誌『月刊広場』を5冊ほどお借りしてきました。

月刊広場

号数によってページ数が異なりますが、約80~100ページ、A5判サイズです。
今回お借りしたのは2014年2、3、4、8月号、2015年1月号です。

月刊広場とは?(Hatena Keywordより引用)

林捷二郎氏が個人で編集・発行している、漫画や漫画についてのエッセー・研究などの発表の月刊・会員制同人誌。昭和45年創刊。現在、漫画家永田竹丸の連載「わたしの漫画50年」や根本圭助の読物などが載っている。

(残念ながら、借りてきた『広場』の画像は上のリンク先にはないようです。)

ちょうど今、3冊を読み終えました。予想外に面白く拝読しました。
2015年1月号で通巻369号、1970年に誕生という、長い歴史と実績を持つ同人誌であることからもうかがえるように、寄稿される方々の年齢層がハクダイより上、また、マンガの嗜好もおそらく自分とはカブらない気がして、あまり期待していなかったのですが、書き手の気持ちが伝わってくる、読んでいて清々しく感じられる記事ばかりで好感度大でした。

『月刊広場』2015年1月号の目次より、気になった項目を書き出してみました。

虫プロものがたり(小林準治)/1960年年代後半のアニメ界に携わる人々の日常、制作ぶりが活写されています。

まんが鰹節(広中建次)/5pの作品。小学生3年生くらいでも読めるような分かり易い内容で、アニメ「まんが にほんむかしばなし」に通じるようなところもあるのですが、やはり大人向けの作品というべきでしょう。独断と偏見を承知の上で書きますと、まさに「月刊漫画雑誌時代の雰囲気が残っている」。ハクダイとしては文句なしに面白かったです。このテイストにはなかなか出会えません。

ぼくの月刊誌時代(18)「ひとみ」(白井祥隆)/昭和30年代に隆盛を誇り、昭和40年代初めころにはその役割を終えてしまった『月刊漫画雑誌』について、懐かしさと愛情を込めて綴るシリーズ。当時の月刊誌を愛読した子どもたちの生活ぶりが伝わって来るとともに、掲載作品の紹介も詳細で読み応えがあります。

広場2015 (1)

上は2015年1月号の目次。

 

広場2015 (2)

2015年1月号の最終ページ。この同人誌の案内と参加方法が記載されています。

フェイスブックの投稿やツイッターのつぶやきを見ていると、とかく、短いスパンとボリュームで世の中は動いているように思えてきます。この「時間も文字数もより短く簡潔に合理的に」という傾向は、テレビの世界もそうであるように、特に近年始まったわけではないでしょうけれど、それによって得たものがあると同時に失ったものも大きいはずです。
パソコンやタブレットに向き合いWeb上のテキストを追うのと、紙に印刷され製本された冊子で活字を追うのは、表向きは同じ行為ですが本質的には別物だと、古書好きのハクダイは実感しています。
そんな意味でも、ネットに頼らない独自のネットワークで草の根的に続いている『月刊広場』のような紙媒体に敬意を表するとともに、陰ながら応援したくなるハクダイでした。