貸本漫画短編誌『黒い影』三洋社を4冊読む機会に恵まれました。 

 

   三洋社の貸本漫画、いわゆる短編誌『黒い影』 を4冊ほど読む機会に恵まれました。昨年2021年11月に山森ススム先生宅を訪問した際、御貸し頂きました。1,2,5、そして別冊1の4冊。4冊全て定価は150円で、奥付に編集者が記載されている場合、編集者として長井勝一の名があります。刊行時期については、上記4冊は全て1960年(昭和35年)と推察されます。三洋社を興し、その後青林堂を設立しガロを創刊させるまでの経緯については、長井勝一の著書「ガロ編集長」に詳しいです。三洋社は白土三平・忍者武芸帳の刊行元であり、貸本漫画を語る上で外せない重要出版社ですが、出版物の内訳については、あまり知られていないように思います。せっかくの機会ですので、以下わたくしハクダイなりに、まとめてみました(的外れな事を書いているかもしれませんが)。作家さん等の敬称略は御容赦下さい。皆さんの参考になれば幸いです。

◆総括

(4冊を読み終えて)。一番最後に配置されるべき文章かもしれませんが、最後まで読んで頂けるとも限らないのですし、結論は先にという考え方もあることですし。

・関西の劇画工房系作家(及びそのフォロワーたち)と、東京の作家がバランスよく配置されている。

・比較的、豪華な執筆陣と言えるだろう。劇画工房に所属していた作家たちの原稿料は、相場としては高めであったと思われます。

・読み応えの多い作品が多く、当時の貸本漫画業界にあっては、かなり高水準にある短編誌シリーズである。

・関西よりの上京組(≒劇画工房)に対しての東京の作家ということになるが、劇画工房系の作家の亜流では無い個性豊かな作家を起用。つげ義春・忠男兄弟、永島慎二、フカイヒロー、石黒昇。1960年(S35年)当時、山森ススムは京都在住、影丸譲也は大阪在住。

・誌名の「黒い影」は、日の丸文庫の「影」を意識して付けられたものであろうが、本家・影に匹敵する存在(あるいは凌駕していると言っても差し支えないかもしれない)。

・貸本漫画の世界は、いい意味でも悪い意味でも『何でもあり』、『玉石混交』、『作家にとっても出版社にとっても参入障壁が低い』業界だが、編集人の明確な意図が存在するように思える。編集者・長井勝一の力量を伺いしるには十分過ぎる短編誌であると言えよう。

◆創刊号◆ 

 アクションブックと副題あり

 

狼の礼服 さいとう・たかを 約24p(冒頭数p欠損のため不明〜推測)

・扉欠損で、プロダクション制作に関するクレジットが在るのか無いのかなど不明。

・殺し屋同士に決闘させる、が作品のキーとなる作品だが、決闘という形式も狼には不要である、という非情さ〜虚無を描いた作品。正義の味方的な顔つきの殺し屋が実は・・・という意外性も作者の狙いであろう。礼服は形式的なことを指している(比喩)。

みな殺しの歌 佐藤まさあき 50p

・扉に記載 非情!!一人の殺し屋をドライなタッチで描いたハードボイルドの傑作。

・走行中の首相の乗る自動車を銃撃でパンクさせ、首相をあっけなく撃ち殺す殺し屋。命乞いする居合わせた目撃者である運転手も、容赦無く撃ち殺すのであった。暗殺の依頼者である次期首相と呼び声の高い政治家鬼頭は暗殺の秘密を消すために、殺し屋のもとへ複数の刺客を送りこんで来る。

・無関係の全く落ち度のない人間でも目撃者であるという理由で容赦なく殺してしまう男であるが、子どもに対して見せた甘さが命とりになってしまうエンディングに佐藤まさあきの「表現者の核」を見ることができると思います。

・この作品は、リメイク版が幾つか存在すると思われる(最低1つ、または2つ以上)。これこそがオリジナルと思われる。扉にはドライなタッチとあるが、現在の視点からすれば全然ドライでも無いですし、いや数年後でさえ、生ぬるく幹事らエル表現であったかもしれません。ですが、佐藤まさあきにとっては、エポックメイキングなり創作上の転換点となった作品だったと想像します。

いつか地獄で 影丸譲也 40p

 

・淡々と殺人を犯し報酬を得る。そんな殺し屋の行動をストレートに描くハードボイルド作品。正義と悪というような二項対立も無く、在るのは殺し屋としての生きざまだけ。

・さいとう・たかをタッチが強く、そのフォロワーであるとみなせる絵柄だが、後年の雑誌へ描くようになってからの影丸譲也独特の筆致も当然ながら感じられる。背景は辰巳ヨシヒロの影響を感じます。

らせん階段の男:辰巳ヨシヒロ 41p

・扉に記載あり 独立劇画プロ

・日本物産でまじめに働く浮浪者の出自を持つ男は、恩人である社長と共に、逃走中の銀行ギャング団(四人組)に人質として虎和捕らわれてしまう。ギャング団の四人も特殊な事情を抱えており、連帯とは程遠い状況の中、警察署長と人質解放と逃走方法について交渉するギャング団。果たして、人質とギャング団の運命は・・・。

・辰巳ヨシヒロ作品としては、構成が雑な作品であると考えます。人間ドラマ、痛快アクション、非常さ重視のハードボイルド、これら三つのどれでもあって、どれでも無い、そんな印象です。

・劇画工房を脱退した辰巳ヨシヒロは、一時期、短期間ではあるが「独立劇画プロ」名義で作品を発表している。

黒犬 山森ススム 30p

・扉に記載あり 劇画工房作品(マークもあり)

・ヒ素を病院から盗み出す事に成功した男・井上。井上の兄は立派な屋敷に一人で住む男が飼う猛犬(黒犬)に襲われ、命を落としていた。その犬にヒ素入りの肉を与え続ける事で、犬を毒殺し兄の仇を打つうつもりの井上であった。井上は、ヒ素入りの肉を十数回与え続けることに成功したが、屋敷の男には大きな秘密があった。井上、屋敷の男、そして黒犬、これら三者が最終的に迎える結末は意外なモノだった。

ある刑事の復讐 石黒昇 34p

・組織的な麻薬犯罪と警察の抗争が続いていた。定年間近の初老の原田刑事は、肝心なところで、犯人たちを取り逃がしてしまう。署内で肩身の狭い思いをする原田刑事だったが、その一人息子は大学へ行っていると、部下の佐々木刑事に話していた。しかし、本当のところは違う。その一人息子は件の麻薬犯罪に関わっていて、組織内の者によって殺されてしまったらしい。老刑事原田は死んだ息子の仇を打とうとするが・・・・・。

・人間ドラマとして、巧みな構成で読ませます。この当時のつげ義春作品に近いテイストを感じます。辰巳ヨシヒロ、さいとう・たかを等の関西劇画よりの影響を、東京在住の作家たちが巧みに消化し、独自のスタイルを作っている、という事なのかもしれません。絵柄は、手塚治虫調+関西新興劇画勢のミクスチャーという印象です。子ども向けまんがを脱皮し、オトナの鑑賞に堪える作品になっていると思いますが、当時は、このテイストを理解する読者は少数派だったかと思います。

アルバイト 石川フミヤス 33p

・いわゆるアタリ屋として自動車に自ら接触して見舞金をせしめることで金を稼いでいる高校生・狂田(きょうだ)。彼は、アタリ屋稼業をアルバイトと称し、金を稼いで来いと鬼の形相でせっつく母親に金を渡していた。大事な公金を失くしたとい落ち込んでいる学友の春山に、アタリ屋で稼ぐ事を教える狂田であったが、結果春山は自動車事故で命を落とすことになってしまう。自席の念に捕らわれる狂田であったが、アタリ屋をやめる事は出来ない。しかし、最終的に狂田は・・・・。

・狂田、きょうだとは、またインパクトのある名字ですが、他の石川フミヤス作品でも使われていたような記憶があります。

 ◆第二号◆ 

 左より、表紙(カバー欠)、扉部分、奥付ページ

●表紙(原英夫)、扉・目次(さいとう・たかを)

目次のページ(見開き)
目次のページ(見開き)

●定価150円 編集者長井勝一 奥付には黒の影②と記載。

死顔をケトバセ!! さいとう・たかを 27p

・扉に記載あり「さいとう・たかをプロダクション作品/本格ハードボイルド」あり。

・犯罪組織で活動する男たち・・・・非情、残忍、狡猾、そして忠誠。正義と立身の狭間で揺れる男たち。さいとう・たかをの流麗なタッチが非情に男たちに良く似合う。

非情 つげ義春 35p

・麻薬取引を巡る犯罪組織と警察組織の攻防。取引に現れた謎の女性は、関西の殺し屋鮫島兄弟の弟こと通称「ハンサムのケン」だった。鮫島兄弟との大きな因縁を持つサムという謎の男の正体は? 正統派エンタテイナーとしてのつげ義春の特徴が出ている佳作。

雨ん中 都島京弥 46p

・扉に記載あり ヒマナぐるうぷ作品(マークもあり)

・生まれ故郷である長崎県対馬の地に、家出から戻って父にお詫びを入れる伸二。伸二は、東京で何かのトラブルを起こしてきたようである。対馬で大掛かりな人身売買が行われているという噂は伸二の帰郷と何か関係があるのだろうか?絵柄は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、構成は見事。

落ちる 山森ススム 30p

・扉に記載あり 劇画工房作品(マークもあり)

・エンゼルホテルに宿泊していた男はトイレに起きた際、自室と間違って他の部屋へ戻ってしまい、そのベッドで寝入ってしまった。その部屋の宿泊者が戻らないうちに部屋を出ようとするのだが、宿泊者が知人の男性と一緒に部屋へ戻ってきてしまい、ベッドの下に隠れざるを得ない状況に。入ってきたその二人の男は争いを始め、ベッドの下で息を潜める男。結局殺人事件に巻き込まれてしまったた男の運命はいかに。何気ない日常の裏側にある恐怖を描かせたら山森ススムはウマい。現在のマンガ読みの目からすれば、未成熟と感じるかもしれないが、発表当時はかなりインパクトがあったと思われます。

ゲンコのおかえし 石黒昇 46p

・扉に記載あり 手書きで「あくしょんまんが」

・「アクション漫画」なり「アクションマンガ」とせずに「あくしょんまんが」とするところに作者石黒のこだわりを見ます。マンガとカタカナ表記するのは、この当時は一般的では無かったかもしれません。手塚調の従来の漫画とさいとう・たかをを中心とする劇画調の絵がウマい具合にミックスされていると思います。犯罪やアクションを描けばイイ?という風潮に素直に乗れなかったのかと思います(辰巳ヨシヒロ、松本正彦ら少なくない作家さんが突き当たった壁かもしれませんが)。殺伐とした雰囲気を無理にでも出したいという作者の意図を感じるのですが、これは作者のニヒリズムの発露かもしれません。

友情 石川フミヤス 33p

・扉に記載特になし。手書きで作品名と作者名。

・石川フミヤスと言えばさいとうプロダクションの一員と認識する人は少なくないかもしれませんが、この当時は未加入のようです。プロダクション加入後も単独名義での作品もあったでしょう。本作品は、ちょっとした変装により危険な奴と思わせることで、恐喝されている友人の窮地を救うという話しです。馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれませんが、嫌みの無い実直さに溢れた石川フミヤス作品だと、不思議に説得力があります。

◆第5巻◆

(5号相当、なぜか巻標記) 

・目次と扉は永島慎二によるものと推測(クレジット無し)

・巻末の「チャランポラン兄弟 宇田川マサオ」の広告が興味深い。

金〜おあし〜 永島慎二 70p

・扉に記載あり MOOD COMIC  /PRESENT BY むさしの漫画ぷろだくしょん/1960・7作品。

・大学生山野進は、資産家のおじの経済的支援を受けていたが、通学せずパチンコ三昧の生活をしていた事もあり、突然支援を打ち切られてしまう。全く意に介さない山野であったが、こじき同然の男にある頼み事をされる。こじき(同然の男〜あるいは浮浪者に近い?)はデリケートという名の犬を大事にしていたが、その犬が死んでしまい、大きな喪失感にあった。山野はその頼みに応えようとするが・・・・・。

・昭和35年当時の大学生もパチンコしたんですね?とか意外な発見がありますが、金〜moneyという存在に正面から表現者として格闘を挑む二十代半ばの永島慎二の存在が眩いです。

・次号予告として真実(まこと)という作品の下段2/3ページを使った広告が本文に挿入されている。文学青年つげ義冬(よしふゆ)という人物が主人公の作品のようです。以下、文章部分をそのまま引用する。 文学青年つげ義冬くん 彼はなぜそのことをとい青春をくらいかんごくの中ですごさなければならなかったのか!なんと真実を口にしただけであった。

みな殺し 山森ススム 30p

・扉に記載あり 劇画工房作品(マークもあり)

・北大路竜之介ら四人の男たちは、銀行強盗を計画していた。北大路の弟は怪我をしているため、他の3人ほどの働きが出来ない 。北大路は弟をかばうのだが、他の二人は納得できない。そんな状況下、その弟は何者かに殺されてしまう。果たして弟を殺したのは誰か?結局壮絶な仲間割れが進んでいくのであった。北大路竜之介を含む三人の悪人たちの仲間割れが、丁寧な駒割で綴られる。

こいつは罠だ フカイヒロー 36p

・イラスト的というか、この時代のアクション劇画とは一線を画すタッチで描かれている。この当時の貸本漫画にあっては独特な絵柄、フンイキを持つ作品だと思う。絵柄はアメリカンコミック的な要素を多分に感じさせるものであり、ストーリー展開も独特。

・特に興味深いのは、一般には手書きで描かれる場合が多い擬音(効果)が、全て小さな活字で表現されている事。飛行機の動きは「活字で・ゴー」、活字でブルル」。拳銃も弾も「活字でズダダン」、「活字でガガーン」。イラスト的なモノを意識しての事だと思うが、このスタイルでの作品、もっと読んでみたいものです。

半顔の鬼 大田春彦 42p

 

・この作家さんは初見。旧世代〜この場合は手塚チルドレンより前の世代という意〜、と推測します。達者な絵だと思います。ベテランの「絵描きさん」と呼びたいところです(勝手なイメージですが)。

・大戦中の供出宝石類の横領に絡む復讐劇が基本枠組みとなる作品。供出品をうまいこと入手し、それを資本にして成功者となった・・・そんな噂が当時はあったのだろう?真偽のほどは別として。レトロなフンイキが味わい深い作品です。

野郎は皆んな昇天しろ 鬼堂譲二 27p

・鬼堂譲二1960.7.23作品と記載あり(最終ページ欄外下段)。

・この作家さんについては知っていた。劇画工房の作家たちのフォロワーという理解です。貸本マンガから雑誌への移行には対応できなかったか?(情報不足で判断出来かねますが)。

◆黒い影 別冊①◆

 

 左より、表紙、扉部分、表紙と裏表紙

●表紙:コンタロー、目次:永島慎二 と記載あり。奥付部分は欠落のため確認できず。

 

ステキなお返し 影丸譲也 38p

・扉には 1960.4 J・K  と記載あり。

・凄腕の殺し屋である堂本。大きな依頼に結果を出し、意気揚々と報酬を受け取りに行くのだが、どうも様子がおかしい。組長、ボス、それぞれの思惑が絡むなか、壮絶な銃撃戦が繰り広げられる。瀕死の身体で、ステキなお返しをするよと、ダイナマイトで大爆発を起こす堂本であった。

・さいとう・たかをタッチが色濃くでた作品と言えるでしょう。黒い影の看板作家がさいとう・たかをであるという事であえてさいとう・たかをタッチに寄せたのでしょうか?破壊願望、破滅願望に訴えるという点では成功している作品かと思います。

●狙われたツバサ フカイヒロー 40p 

・航空機のテストパイロットのテスト中の死亡事故を巡って探偵・大町五郎が活躍する。

・昭和35年作品としては、SF的で先鋭的な作品と言えるだろう。未来志向、都会的なセンスは漫画雑誌含め、この当時は殆ど類型が無いかもしれません。5集収録の同作家の「こいつは罠だ」同様、擬音(効果)は全て小さな活字で表現されている。

●新人原稿募集のページでは、さいとう・たかを先生、白土三平先生方の続く有名作家育成の為、とあり、この両作家を三洋社の代表作家認識していることが伺える。

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時刻百キロの凶器 山森ススム 30p

・扉に記載あり 劇画工房作品(マークもあり)

・銀行強盗を働き大金を得たものの、強盗の悪事をネタに強請られて(ゆすられて)いる二人の男。何度もゆすられてはたまらないと、その男を殺人を目論む二人が凶器として選んだのはオートバイ。目的は完遂するものの二人の男に待ち受けていたものは。

・作者山森ススムのバイク乗りとしての経験と知識が生きた作品。当時はかなりの高級品であっただろう外国製バイクを所有していた山森ススムだけに、疾走感のあるバイク走行シーンには特筆すべきものがある。複数ページ数を使い大胆に描写しており、ここまでのバイクシーンは、これまで描かれた事が無かったかもしれません。

殺し屋志願 つげ忠男 30p

・扉には、つげただお作画と手書きクレジットあり。だが、目次にはつげ忠雄とある。(これは忠男の誤植だろう)。

・腕利きの殺し屋鮫島。段々その報酬は上昇し、雇い主である松浦組のボスからも嫌な顔をされてきている。一方鮫島は殺し屋になりたいという若い男に「殺し屋・教育」を施していた。鮫島を暗殺しようと、松浦組のボスはが刺客として差し向けたのは、鮫島が教育していた若い男だった。師弟関係にあった二人の勝負の行方は。

・19歳前後の作家の作品としては驚くべき完成度の高さだろう。構成の巧みさ、そして兄つげ義春の影響を感じさせはするが、オリジナリティの高い画風。この作品をオリジナル貸本で読めてラッキーです。

白い花 前川浩康 12p

・扉には MOOD MISTEY とある。

・白い花、呼子の二作は第一回新人王当選作品(賞金一万円)のようである。

・獅子舞い(あるいは漫才といわれるものか)の携わる男と子供(三吉)の二人連れは、雨宿りのために、ある小屋へ逃げ込む。そこには一人の少女が居て、摘み取ったと思われる花を整理していた。そこへ、へび(まむし)が現われ、怯える三吉と少女。そして、まむしは・・・・。怖いテーマ、ハードなテーマの作品ですが、おとぎ話的としても読める一方、不条理作品としても読めるでしょう。初期のガロに載っていそうな雰囲気を感じます。

呼子 前川浩康 30p 

・乗合バスがバックする際には車掌の女性が、バスの外から呼子を吹いて進路誘導を行ったのですね。その進路誘導作業が事件の重要なカギとなる殺人が絡むミステリー。娘の父への情愛を背景に詩情とミステリーが交差し、かなりの完成度の作品。

・白い花、呼子の作者前川浩康については、寡聞にして全く知りませんでしたが、児童漫画、童話、絵本という言葉が似つかわしいかもしれません。令和時代のアックス(青林工藝舎)に掲載されていても違和感ありませんね。この作家さんが、この二作で漫画制作を辞めていたとしたら残念な事です。

人間洗濯機 宇田川マサオ 1p

・8コマ漫画の体裁ですが、横に読み進める形式です。令和の時代には、あまり見られなくなった絵柄かと思いますが、個人的には嫌いじゃない絵柄です。

石川フミヤス ストレートの鉄 約24p(終盤欠落のため確認できず)

・扉には、アクション劇画、右近鉄三郎活躍 とある。

・刑務所から出て来たばかりの男が、強力なパンチを武器に大暴する痛快アクションといったところ。エンターテイメントに徹しており、嫌みの無いキャラクター右近鉄三郎が頼もしい。


2022.3.17アップ