カテゴリー別アーカイブ: ハクダイのブログ

コミック1971 vol.2 2003年徳間書店 週刊アサヒ芸能1月24日号増刊号  税込み定価390円(本体371円)

先月10月29日(土)に自宅徒歩圏内で開催のいわゆる一箱古本市にて150円ほどで購入(表紙の汚れが若干気る)。同世代(少し年上)の店主さんと話し込んでしまい、流れで他にも何冊か購入。確か、これのvol.1は発売当時に新刊で購入していたはず(実際は少し遅れてヤフオクかなにかで入手した可能性もありますが。何せ記憶がアイマイ)。また、vol.3以降の刊行については未確認です。

↑左が雑誌表紙、右が目次ページ

 キャッチコピーが【時代の傑作がそのままm復活!タイムスリップマガジン】。

気まぐれにメルカリで検索してみたら、700円代でSOLD表示があり、千円代の出品もあったりで、それなりに手に入らない、かつ需要あり、の一冊のようです。

 いわゆる当時の少年マンガ誌、青年誌〜成人誌から、代表的な作品をチョイス。表紙と巻頭は仮面ライダーと、多数派層にアピールしつつも、あすなひろし、山松ゆうきち、安部慎一、と渋いところも配しております。実際これを書いているハクダイは1964年生まれということもあり、あすな、山松、安部の三作品の掲載誌における当時の立ち位置に関しては、なかなか想像力が及びません。個人的な推測ですが、これら三作品は掲載雑誌にあっては、決して主要作(いわゆる看板作品)では無かったように思うのですが、いかがでしょうか?

 そんな中唯一の描きおろし作品(コラムは除く)である影丸譲也の「ボクの1971・全20ページ」が大変に興味深いです。コミック1971vol (4)

↑ ボクの1971 扉ページ

ウィキペディアより引用しつつ記載しますが、本名は「久保本 稔・くぼもとみのる」、生1940年1月3日 〜没 2012年4月5日。読みは同じ「かげまるじょうや」で「影丸 譲也」⇒「影丸 穣也」へとペンネームを変えています。この作品の描き下ろされた2003年当時は変更前の時期のようです。

 1971年(昭和46年)の正月を東京国分寺の仕事場で激務に追われる場面で始まり、影丸氏の数々の傑作、話題作が紹介されます。白鯨、八つ墓村、日本の地獄、ワル、そして空手バカ一代。奥様との出会い、大阪よりの上京(1963年、昭和38年)などの個人的な出来事と社会情勢も適度に盛り込まれ、一気に読ませてくれます。

 そんな中で、国分寺の名曲喫茶”でんえん”にまつわるエピソードが興味深いです。以下引用します(、一部文章を変えてます)

  国分寺には、、おいしいコーヒーを飲ませてくれる、かの有名な名曲喫茶”でんえん”がある。なぜ有名かというと、知る人ぞ知る”劇画工房”時代の大先輩達の溜まり場だったのだ。との後には、十五名ほどの作家たちの名前が列記されています。(以下引用)

 さいとう・たかを辰巳ヨシヒロ桜井昌一佐藤まさあき石川フミヤス、川崎のぼる、南波健二、西たけろう、松本正彦、いばら美喜、平田弘史、水島新司、ありかわ栄一(のちの園田光慶)、コン太郎 

  十五名全員が劇画工房・同人と読み取ってしまう方が少なからず居るようにも思いますので、劇画工房・同人は緑色で記載します。また、「松本正彦 永島慎二がこのでんえんのウエイトレスと結婚している」 との記載もあります。

 ↑ぼくの1971(影丸譲也)10p目(右)、11p目(左)。11p目に15名の作家の名が記載されています。

●2022.11.30記載●


 

見てきました:水木しげる魂の漫画展 いわき市立美術館

※開催期間2022.6.25〜8/21

キャッチアイ画像は会場入り口ロビーで撮影(確か撮影OKだった)

8/11木 午前中からお昼ごろにかけて約1時間半程度鑑賞。紙芝居を模した映像、アシスタントらのインタビュー映像あり。立体モノ?の展示も豊富。集中力が続かず、終盤は幾分飛ばし気味になってしまい残念。

水木さんの情報はウイキペディアに非常に詳しい情報がありますし、いわゆる成書的ものも少なくないので、今更ここに書くようなことは特段無いのですが・・・・・。

水木さんの事はそれなりに知っているつもりでしたが、初めて知ることも多くとても有意義な時間を過ごせました。

アシスタントを務めていた方として、池上遼一さんと村澤昌夫さん両名のインタビュー映像は非常に興味深い。ウィキペディアにはアシスタントとして約20名が紹介されていますが、紹介されていないアシスタントさんも多いと思われます(紹介されていない方の方が圧倒的に多いか?)。

 記憶がアイマイですが、20年とか30年前の昔、根本敬さんが対談かなんかで、日本の漫画は手塚系と水木系の二系統に分類される、みたいな事を語っていて、その当時はその発言の真意、意図が理解出来なかったのですが、今になってようやく分かったような気がします。今更遅いよ・・な分けですが。

この展覧会を見てすぐ二週間くらいの間に、NHK教育の100分de水木しげる、日曜美術館・水木しげるの妖怪画 を見れたのもラッキーでした。特に前者は、ヤマザキマリ、佐野史郎、宗教学者の釈徹宗、フランス文学者の中条省平、四人の論客の皆さんの作品理解の深さと奥行に感心しかり。

2022/9/7記載。

 

 

ハイスピード/HIGH SPEED 創刊号 三洋社 昭和36年/1961年

 ハイスピード/HIGH SPEED 創刊号 三洋社 昭和36年/1961年

 

※掲載内容は次のとおり。

・ライフルガンのすべて(第一回) 佐藤まさあき 8p 写真と文章による銃の解説

・仇/かたき 白土三平 30p

・みんな消えてゆく 辰巳ヨシヒロ 36p

・身変わりは君に 山森ススム 30p 扉に劇画工房と記載あり(劇画工房マークあり)

・ハンター 佐藤まさあき 41p

・表紙:さいとう・たかを、目次ページのカット:辰巳ヨシヒロ

・さいとう・たかを、辰巳ヨシヒロの二人がそれぞれ1p分、創刊号祝(的な)寄稿を寄せている。

※気になるところなど

・佐藤まさあきによるライフル銃の紹介(解説)のページが幾分唐突な気もしますが、これはこれで有りかもしれません。それだけ、銃に対する関心が大きかったということでしょうし、貸本漫画の商品としての完成度を考えるなら当然かもしれません。

・大阪より劇画を標榜して東京へ出てきた劇画工房の面々より幾分年上で、東京の作家である白土三平。中央(東京)への敵対意識と憧憬がない交ぜとなった複雑な心情を抱えていたと(思われる)劇画工房の面々と、彼らより幾分年上で生活のためという側面はあったでしょうが、明確に描きたいテーマがあり、自分の描く作品の呼称への興味は薄かった(と思われる)白土三平。まさに白土三平 VS 劇画工房 の図式で読み解きたくなってしまいますね。

・山森ススムが昭和36年にあっても劇画工房を名乗っていたという事も興味深い点です。

※以下各作品の紹介です。

●ライフルガンのすべて(第一回) 佐藤まさあき 8p 写真と文章による銃の解説

 ライフル銃の写真は、佐藤まさあきの著作等より推測するに、海外の雑誌などに掲載された写真よりの転用(転載)と思われます。無断転載の可能性が少なからずありますが、解説記事・紹介記事としての水準は結構高く、数多くのテーマを自ら開拓した佐藤まさあきのマーケッター、プランナーとしての才能を垣間見る事ができるものになっています。

●仇/かたき 白土三平 30p

 いわゆる西部劇映画からの派生としての劇画/漫画作品と言えるでしょう。妻子を惨たらしく殺された男は復讐だけを人生の目的として生きてきた。15年の年月を経て復讐〜仇討ちの機会を得た男であったが・・・・。男にとっては過酷な運命が待っていた。

 人間の生きる意味とは何?と思わせる一篇に仕上がっています。白土作品については、多くの情報が流通しているでしょうから、あえてここで何かを書くまでもないと思いますが・・・。

●みんな消えてゆく 辰巳ヨシヒロ

 銀行強盗で六千万の大金を手にした三人の男たちは、奥深い山奥まで逃げ込む。三人の男たちは他の三人の仲間を裏切り〜殺害しており、各自の分け前(取り分)が増えて良かったとさえ思っていた。三人の息子を持つ一癖ありそうな初老の女性「キヌばばあ」の家に身を寄せる(厄介になる)ことを許された三人であったが、結局二人が次々と死んで行き、残るのはボス格の男一人になってしまう。二人の死には、キムばばあの息子たちが関与していることに気付いたボス格の男は、『あの金は魔物だ、あの金を持つと人を殺したくなるぞ』と、キヌばばあに、訴えるのだが・・・。

 登場人物全員が曲者というか悪人的なフンイキを漂わせていて、不気味なというか、悪趣味なテイストに満ちた作品です。日本、土着的なフンイキが濃厚ですが、埋葬シーンでは十字架の墓標が描かれたりと、無国籍なフンイキも少なからずあります。

●身変わりは君に 山森ススム 30p

 ある夜、友人と別れて一人帰路につく男は、ナイフを持った男による凶行(おそらく殺人)の現場を偶然目にする。あわてて、住んでいるアパート三洋壮まで逃げ帰るが、ナイフを持った男に住んでいる場所を知られてしまったようだ。アパートに友人と一緒に住んでいる男であったが、とにかくアパートを出るのが先決と考えて、さっそく引っ越しを始めようとする男だったが・・・。

 身近に住んでいる人間が、もし〇〇〇だったら・・・。日常生活の危うさ、何気ない日常に潜む恐怖への強い関心。作者山森ススムの創作の原点には、そのようなモノが存在していたと想像します。多かれ少なかれ、そのような感覚を多くの人が持つのでしょうか、飛びぬけて強い関心だったと思われます。

●ハンター 佐藤まさあき 41p

 売れない漫画家(劇画家)である安田。安田の学校時代の友人である鮫島は、社長の息子であり、自動車を乗り回し、高額なライフル銃を持ち、面白おかしく暮らしている。学校時代は安田と鮫島はライバル関係にあったが、安田の父の死後は途端に貧乏になってしまった安田であった。安田が想いを寄せる女性マリちゃんと鮫島が親しくしているという噂を聞いた安田は、ある目的のために、鮫島にバカにされながらも最低価格のライフル銃をやっとの思いで購入する。鮫島と一緒に狩猟に出かけた安田であったが、恐ろしい、秘めたる目的を持っていた。安田は何をしようとしているのか、

 ”敗北者”となった男がプライドを取り戻すべく、あがきもがき復讐の鬼と化す、佐藤まさあきの得意とするテーマの作品です。ですが、熱気というか怨念というか、作者の作品への思いが希薄なような気がしてなりません。酷な言い方ですが、アシスタントの習作なんではないだろうか?そんな疑念さえ浮かびます。


 

山森ススム先生の蔵書をお借りして拝読


22022.4.28アップ。


 

 

影別冊 推理特集 1960年/昭和35年

◆影別冊 推理特集1960年/昭和35年◆

●死の影 影丸譲也 50p

 香港より船で日本へ帰ろうとしていた男は、チケット取りに困っていた。幸運にも黒沼と名乗る男に、自分の代わりに乗船してもらえると助かると言われ、乗船切符を譲ってもらえる。しかし、その黒沼と名乗る男は、その直後に謎の男に『ナイフ投げ』餌食となって殺されてしまうのだった。とにもかくにも、黒沼の譲ってくれたチケットで日本への航路の旅に就いた男であったが、命を狙われる事になってしまう。男は無事日本へ帰れるのか?黒沼を殺したのは誰か?そして黒沼の正体は・・・・。

 主人公である男の素性が明かされないまま、話しが進んで行くことに違和感を感じるのだが、船旅の雰囲気も良く出ており、影丸譲也らしい手堅くまとまった作品と言えるだろう。影丸同様に、日の丸文庫で多くの作品を手掛けた『山本まさはる』を思い起こさせるような雰囲気も感じます。

●コマ漫画 奥山洋介 3p

 この作者は全く知りませんでしたが、手慣れた感じで、安心して読めます。

●二重瞼/ふたえまぶた 桑田良一 120p

 のどかな田園風景の続く農村で殺人事件が発生する。殺されていたのはとある大企業の社長であった。故人の経営する会社の社員たち、そして故人の息子、疑わしい人物は数名ほど居る。事件の解決に挑む立花刑事の推理の行方は?

 作者の桑田良一さんは、何作か拝読したこともあり、知っていましたが、経歴は不明です。(おおざっぱな検索では、かかってきません)。わたくしハクダイ的には、『類型的な絵柄が思い当たらない』なのですが、旧世代の漫画家さんという印象です(当てずっぽうですが)。手塚治虫フォロワー以降の洗練された絵?からはほど遠い・・という感じでしょうか?あくまでも個人の感想ですが。

 いわゆる推理小説というものは全く詳しくないのですが、120pという多めのページを使って、犯行の詳細、犯人の仕掛けたトリック、その他もろもろの伏線等々をじっくりと描いており、この当時の推理モノ漫画としては、かなり高水準にあると言えるでしょう。ハクダイは全く着いていけず、申し訳ないですが、斜め読みになってしましたした。タイトルの二重瞼(ふたえまぶた)が犯人に迫る重要なキーワードになっています。

● 電話は夜鳴る 山森ススム 20p

扉に「劇画工房」と記載あり(劇画工房マークあり)。

 銀行強盗に成功した男。彼は、まずはゆっくり休もうと床に就くが、興奮のため寝付けない。そこへ電話が掛かって来る。『あなたが銀行強盗をして大金を手に入れたのは知っていますよ』と電話の主は言う。そして更に続けて「ばらされたくなかったら、口止め料として盗んだ金の半分を、寄こしなさい」と男に迫るのだった。

 銀行強盗に成功した男の焦燥感を丁寧に描いており、山本ススムお得意の心理スリラー作品と言えるだろう。電話の主の正体が最後まで明かされることなくエンディングを迎える、奇妙な読後感が残る作品です。

●巻末広告等


 

 本書は山森ススム先生よりお借りした貸本漫画の一冊です。


2022.4.20アップ。

影18集 日の丸文庫

◆探偵ブック 影 18集◆

目次は巻頭のさいとう・たかを作品の後にあり、山森作品の前にあります。

『黒い子猫シリーズ X ラメラ さいとう・たかを』 16p

 狂気とも呼べるような執着で研究に打ち込む滑博士(ナメラハクシ)。旧友である北川博士が、莫大な研究をつぎ込んでいる滑博士の身を案じて訪ねてくるが、『この薬が出来たら・・・・」と北川博士の心配も全く意に介さない滑博士であった。研究所で夜を過ごした北川博士は、滑博士の実験室のドアの鍵穴から、身体が溶け出して透明人間となる滑博士の姿を見るが・・・。透明人間を作り出そうとする滑博士の狂気じみた研究の正体とは?「黒い猫」と呼ばれる少年探偵の推理が冴える。

 滑博士と北川博士の友情もテーマとして内包しており、後味は悪くない作品。この当時のさいとう・たかを作品は殆ど知られていないと思いますが、漫画的な丸っこい絵柄と、単純に形容できない、さいとう・たかをらしさが感じられる絵柄だと思います。

● 空飛ぶネオン塔 山森ススム 21p

 一億円以上が奪われ、行員三十余名が殺害されるという、凶悪な銀行強盗事件が発生する。犯人は三人組のギャングであることは分かっており、非常線が張られるが逃走経路がつかめず、市街地は大混乱。偶然、ギャングと遭遇する仁とその友人は、警察に、ギャングの居場所を教えようとするが、居場所を知られたにも拘らずギャングたちは余裕しゃくしゃくの様子である。ギャングたちが利用しようとしている逃走経路(方法)とは?

 ロケットで逃走する、というアイデアを生かし切れておらず、幾分消化不良感が残る作品だが、山森作品の軌跡をたどるという点では興味深い作品。

 

 ● 続まだら蜘蛛 佐藤まさあき 25p ミステリーシリーズ第四話と表紙に記載あり。

 ● おれはギャング⑥桜井昌一 1p 4コマ漫画が2本

 第二次世界大戦中、ビルマのある部隊にいた三人の男たちは、墜落した飛行機の中にあった宝石を偶然手に入れる。まだらの毒蜘蛛に噛まれた遠野を見捨て、更に遠野の分の宝石も奪って逃げてしまう二人の男。16年後、まだら蜘蛛を自称する怪しげな男が、復讐のためにと生き残った二人の前に現れる。

 前回分の謎解き的な感じなのが残念。前回分のまとめは絵物語的な手法を取っているのも興味深い。

 物語自体は、結構込み入っているにもかかわらず、破綻なく進み、復讐モノ、謎解きモノとしてよくできており、ストーリー展開の巧みさに定評があった佐藤まさあきらしい作品。いわゆる書生風スタイルの植村謙二探偵の造形には確かなモノがあります。佐藤まさあきといえば独特の目つきの男(いわゆる三白眼の男)で知られますが、この当時は、まだ、この目つきの男は登場しません。個人的には、まだ丸みが残っていた時代の佐藤まさあきの絵柄好きですね。

● クイズの部屋 消えた五千円札 桜井昌一 下半分のページで16p

 銀行強盗に成功するも逃走中である三人。奥深い山へ逃げ込み一夜を明かすが、仲間割れが起こりそうな気配がする。盗んできた金の一部が無くなっているのに気付いた男は・・・

● 蛇性の魔女 山口よしひろ 30p

 コーヒーを食堂で飲んでいた白百合健一郎は、「蛙を一人前」持って来てと奇妙な注文をするマスク姿の女性を見かける。機転を利かした店員は「当店自慢の牛の舌」を出すが、マスクを取った女性の口には恐ろしい牙が二本。その女は復讐を企む恐るべき「蛇女」であった。事件の全貌と蛇女の正体に迫ろうと精力的に動く白百合健一郎。単純そうな事件に見えたが、真犯人の真意は意外なものだった。

 作者の山口よしひろさんの名前は全く知りませんでしたが、手塚治虫の熱烈なフォロワーと言えるでしょう。手慣れた感じで、それなりに実績のあった方かもしれません。謎解きモノとしては結構複雑な構造を持っており、事件を解決するのは白百合健一郎の妹であったりと、なかなか一筋縄では無い読み応え十分の作品に仕上がってします。劇画工房の作家たちが目指したような「新しいマンガ」志向のようなモノは希薄ですが、完成度は高い作品です。

● 二人の男 有川栄一 上半分のページで16p

 警察に追われている二人の男は実の兄弟。弟は麻薬王になってやると豪語するが、兄は弟には真っ当な道に進んでもらいたい。兄弟は激しく言い争うが・・・。

● 地獄特急 くぼもとみのる 21p 表紙にスリラーとある。

 都内の銀行を襲撃し銀行強盗に成功した二人の男は、羽田空港で小型飛行機を乗っ取り逃亡を企てる。犯人に脅された二人の操縦士の操縦する小型飛行機は三原山に向かう。三原山の火口付近に不時着した小型飛行機であったが、三原山の噴火が数時間後に迫っており、故障したエンジンを直し、三原山を離れなければならない。犯人二人、そして操縦士二人は、この危機を脱することが出来るのか?

 くぼもとみのるは影丸譲也(1940生まれ)の本人名義であるが、劇画家として大成する才能の片りんが伺える初期の一篇と言えるだろう。この当時若十八歳。臨場感に溢れたドラマが展開されるが、犯人二人は3〜4等身で描かれており、自らの表現を模索していた時期であると推測されます。今更ですが、影丸譲也という劇画家・マンガ家の存在の大きさを実感しています。


 

 本書は山森ススム先生よりお借りした貸本漫画の一冊です。


 

2022.4.18アップ。