カテゴリー別アーカイブ: ハクダイのブログ

最近読んだ本 文明開化めし(上下)ラズウエル細木 リイド社

コミック乱ツインズ/リイド社 2018~2021年連載。ほぼ月1で通っている近くの散髪屋さんで、何回かは読んでいたのですが、漫画収集家(愛好家?)のNさん(@関西)の御好意で上下2巻を読む機会に恵まれました。Nさんありがとうございます、嬉しいです。

 そんなにタクサンは読めていませんが、ラズウエル細木さん、好きな作家さんです。

かわら版~新聞へ、記者として料理を紹介するという読切形式ですが、ラズウエルさんの手に掛かれば、人々の日常の営みがリアルに伝わってくる、時間と空間が濃く深く伝わってきて、心揺さぶられます。

 

 

文明開化めし上下2冊 書影

 

主人公三吉始め、その雇い主や同僚なども、生き生きと描かれるのですが、あくまで内容の中心は料理。三吉らの人間模様はあっさりとしか描かれていないのが残念といえば残念で、外伝的に人間模様に焦点を当てたモノも読みたいですねえ。

 2025.1.4公開

 

でっかい奴 福本和也/佐藤まさあき を読む

 2024年、旧知の昭和マンガ愛好家Kさん(関西在住)の御好意により、でっかい奴を読む機会に恵まれました。連載の一部では無く、「完全・全編」ですから、今更ながら信じられない思いですね。

 たまたま入手していた週刊少年マガジンで1回分のみ読んだことがあるのみで(かれこれ20~30年くらい前の記憶ですが)、読む機会は無いだろうなあ、と半ばあきらめていただけにKさんの御好意に感謝の念でいっぱいですね。ちなみに、このマガジンを処分してしまった事を後悔しております(苦笑)。

 佐藤まさあきの二冊の著書にて、記述された情報が、この作品に関する「入手可能な情報」と言っても言い過ぎでは無いかもしれません。

 週刊少年マガジン(講談社) 1967(昭和42)1号(1月1日号)〜30号(7月23日号) 全30回の連載

検索(2024.12.25)すると次のような情報が出てきました

まんだらけの販売商品ページ でっかい奴の私家版

 画像借用させて頂きました⇒ 佐藤まさあき_でっかい奴画像  

松崎あけみのブログ 週刊少年マガジン昭和42年13号を一部紹介

 九州から尊敬するマンガ家・袋三太郎(フクロサンタロウ)を頼って、マンガ家として大成する、というでっかい夢を持って上京してきた大道寺凡太(ダイドウジボンタ)の奮闘を描く青春快作、といったところでしょうか。凡太は、袋三太郎の作品を「子どもたちのために愛情をそそいで描かれた立派な作品」と高く評価し、袋三太郎に心酔しているます。ですが、実際の袋三太郎は「世間的には無名のさえない貧乏マンガ家」です。

 まあ、佐藤まさあき氏本人が「失敗作」と書いているように、作品としては、デタラメというか、作劇としては破綻している?部分が多すぎますが、興味深く読みました。

 袋三太郎が、かつてのマンガ家仲間で、今は多数の連載を抱える大人気作家となった「佐古正」に借金できないか?と訪ねる回では、永島慎二の漫画家残酷物語を思い起こしました。佐藤まさあき自身もどのような気持ちでこの作品を描いていたのでしょうか?

 今や死語となったも言える「劇画」ですが、劇画という言葉がどのように社会に浸透して行ったか?を検証する意味でも、また、佐藤まさあきにとっての「劇画」とは?を考える意味でもなかなかに興味深い作品ですね。

 ・2025.1.2公開

 

摩天楼の全体像に迫る:その2〜

摩天楼/兎月書房の全体像に迫る:その2〜

●各号の見返し部分のまとめ 表紙の裏に相当する見返し部分と見返し遊び部分の2ページ分

 劇画工房同人8人の紹介ページとすることを考えていたようです。シリーズ名は「こんにちわ」。作者の本人写真に紹介文に添えた物となります。下記に紹介文と現物の画像をまとめました。⇒画像はクリックで拡大表示。

 この紹介分の作成は、辰巳ヨシヒロ氏によるものと推測しています(具体的なエビデンスは無いのですが、辰巳氏の著作などを読む限り、そんな気がします)

 

1号:桜井昌一    2号:K・元美津
 探偵漫画界に本間枚九郎(ほんままいくろう)ものでハードボイルド派を紹介されてから、はや3年余りもたちますが、近作は、ますます円熟味(*1)が出てきたようです。先生の今後の作品が楽しみです。

 タフガイ探偵針剣太郎そのものズバリの K・元美津先生です。当年23才。ファクト(真実)フレッシュ(新しさ)フリー(自由、無制約) この3Fが劇画を構成すると先生は語られます。

画像:準備中  matenrou_2 (2) 
3号:欠番 4号:さいとう・たかを  

   石川フミヤスを予定していたか?(推測)  該当部分は白紙状態であり、何らかの編集上のミスがあったと推測

   常に人気トップにあるさいとう・たかを先生はチョッと頭のぬけた探偵台風五郎の生みの親であり、また二十二才の若さあふれる青年作家です。
画像:準備中 (基本白状態)  画像:準備中 
5号:松本正彦 6号:山森ススム
 ぼくは摩天楼に対して、すごくファイトを燃やしているのですよ、とその意欲のほどを語られる、松本先生の、これからの本誌におけるご活躍ぶりが楽しみです。   はたして、この人があの奇抜な、そしておそろしい作品をかかれるのだろうか こんな疑問をいだかせる山森ススム先生です。 
画像:準備中   matenrou6 (2) 
7号:辰巳ヨシヒロ 8号:佐藤まさあき
  本格的、アクション物と広いレパートリーをもち、なお最近はユーモア物にも異彩を放った辰巳先生は、たえず前進しないと気がすまないのだと語られるファイトマン。写真には「愛犬ベルとたわむれる辰巳先生」と一文あり。   スリラー・怪奇・本格もの・・・とあらゆる作品を手がけてこられた先生ですが、最近はハードボイルドの非情な世界にすっかり魅せられてしまった様です。

 matenrou7 (3)

摩天楼8号前半抜粋_001(ハクダイ蔵書scan) 

  参考:摩天楼別冊(B5判)見返し部分/劇画工房全8名 
 摩天楼別冊B5 (1) (8名全員が揃っている写真は、この一枚のみと思われます)

★注意など:(*1):原文は「えんじく味」(明らかな誤記等と思しき部分については修正を施しています) 

 

 ●作成:2024.11.01

「わたしの青春ノート さいとう・たかを1987年放送」

 2024年10月29日22時45分からEテレの「おとなのEテレタイムマシン」を見ました。

1987年5月9日に放送された「わたしの青春ノート さいとう・たかを」の再放送となります(4Kリマスタ処理を施しているようです)

 NHK第二放送のカルチャーラジオ ラジオアーカイブス「声でつづる昭和人物史 〜声でつづる昭和人物史:さいとう・たかを1、2  2024年2月19日、26日放送で この録画を一部使用していますね。

 昭和11年大阪に生まれ 19歳の時に「空気男爵」でデビュー 3年後上京 仲間とともに従来の”漫画”という言葉に対して”劇画”という言葉をつくった 劇画最盛時「無用ノ介」「影狩り」「ゴルゴ13」などを発表 「ゴルゴ13」は18年続いている

 上記のようにテロップが出ます。大阪に生まれとありますが、正確を期せばこれは誤りかと。和歌山県に生まれ大阪で育つ、がより正確かと。「劇画」という言葉は「自分と仲間」が共に作った、ということですが、実質さいとうさん一人が作ったと認識したい(認識した)人は少なくなかったように推測します。

ききて 東京都立杉並高校漫画研究部 尾崎九美 山下一史、 佐藤敏彦アナウンサー と番組冒頭で紹介があります。高校生二人が実質的インタビューで、NHKアナウンサーがそれをフォローするといったところでしょう。また、女性の尾崎さんの方が発言は多いですね。

 ・インタビュー中、さいとうさんが喫煙している、というのが昭和らしい

 ・さいとうプロの製作の様子が映ります。何名かの方が映りますが、石川フミヤスさんかな?と思しき方が。まあ、ハクダイが認識出来ないだけで分かる人には分かるんでしょうけど。

・インタビュアーの高校生御二人は1970(昭和45)年頃の生まれでしょう。1936(昭和11)年生まれのさいとうさんとは、丁度親子くらいの歳の差でしょう。ちなみにハクダイは1964年生まれでインタビュアーさんに近い年齢です。

・今の十代、二十代の人が、このインタビューを見たらどんな感想を持つのでしょうかねえ?気になるところです。

●2024.10.30作成

●画像はコミックナタリーより

 

 

 

2024.9.12山森ススム先生訪問記

※日時等:2024.9.12(木) 8:50~11:10 @京都市内山森先生自宅兼工房

ほぼ二年ぶりの訪問でした。昭和10年(1935年)7月1日が誕生日の山森先生、来年には卒寿(90歳)を迎えられるとは思えない御元気さ。

 最近、制作された螺鈿作品を前に、近況などを伺うことが出来ました。途中からマネジメントはマネジメントをされている長女の藤原一求美さん(フジワライクミさん)も加わって、息子さん(アニメーターの山森英司さん)やお孫さんの事、最近の業界動向や思い出話など、あっという間に過ぎた二時間強の時間でした。


ここ最近制作の螺鈿作品の一部


ここ最近制作の螺鈿作品の一部~続き 30㎝のレコード盤(LP盤、アナログレコード)の上に螺鈿細工を施しています。


 山森先生とハクダイ(撮影は藤原さん)。目つぶってしまってますね(-_-;)



●前回の訪問記録 2022年12月27日 写真のみです 

山森先生とハクダイです(撮影は藤原さん)。


●過去の訪問記録

 2021年11月某日 ⇒ 記録作成あります ←クリック 


・2024.9.19公開(修正2024.9.21)