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貸本マンガについて

いわゆる「貸本マンガ」というジャンルの存在自体が、今となっては理解しにくいモノとなってしまっています。そして、さらに言えば、作品収録の形式も大きく言って二つに分けられていて、これが、また事態を理解しにくく (ややこしく) しています。収録の形式としては、次の二つに大きく分けられます。

 (1)一人のマンガ作家が、まるまる一冊を全て描くモノ。単巻(一巻のみ)で終わる場合と、全二冊から十冊以上となる場合もある。また、二冊目(二巻以降)が存在する場合も、次の二つの場合があります。 ①基本的に一冊で読みきり完結して、連作的に二巻以降が続巻するモノ ②一冊ごとの読みきり連作では無く、巻ごとにストーリーが展開していくモノ。 代表例としては①⇒辰巳ヨシヒロ「弾丸太郎」、②白土三平「忍者武芸帳」17巻(厳密には、最終十七巻は、十六巻の前・後編の二冊として刊行)

 (2)複数の作家が、短編を寄稿して”雑誌”形式としたモノ。 日の丸文庫『影』、セントラル文庫『街』が、その代表格といえるでしょう。基本的に月刊スペースで刊行される場合が多かったようです。そして、ヤヤコシイのはその通巻表記です。普通、雑誌だったら、「月刊・少年」昭和33年(1958年)12月号と、年と月で特定できます。ちなみに、「少年」は光文社より刊行されていた月刊雑誌で、『鉄腕アトム』、『鉄人28号』などを長期連載していた昭和の代表的な月刊雑誌です。 『影』の33集(ないしは号)と表記するのみで、発行年の情報は一切ありません。このいわゆる「短編誌形式」のモノは一冊(一号ないし一集)で終わってしまったモノも少なくなく、数十まで続けば、かなりの「人気誌」であったと言えるでしょう。一般的には、この短編誌形式の嚆矢とされるのが、まさに『影』で、号数が百番台の大台に乗った短編誌は『影』のみかもしれません。

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