思いついたように、手元にある手塚治虫先生「鉄の旋律」秋田漫画文庫(昭和51年)を再読してみました。
主人公の妹が、音信不通の兄へ新聞広告にて連絡を求む場面があります。該当の新聞広告に並んだ他の新聞広告に、お遊びがありまして、これがなかなか興味深いです。
まず、本筋の広告文が 「にいさん すぐあいたいの ホテルグランド・オーサカ4025室へ電話して アリサ」 。 その直ぐ左隣にあるのが「赤塚不二夫よ あんまりむちゃをするな 父」。そして、もうひとつ左にある広告が「ヨシヒロさん 日の丸文庫で待ってます 山田」。
これは、辰巳ヨシヒロをネタにしたものと推測します。この作品は、昭和49年から50年にかけてヤングコミックに連載されたようですので、日の丸文庫自体が、昭和45年頃には「ほぼ消滅した」と言っても差し支えない状況である事を考えると、ほんの遊び心かと思いますが。
ですが、辰巳さんが自著「劇画暮らし」で詳らかにしているように、手塚先生と辰巳さんはプライベートで親密な交流があった事、そして昭和49年~50年の辰巳さんの仕事は、どちらかというと「娯楽的要素」の強いモノが多かったという事実から深読みするに、手塚先生から辰巳さんへの「なにがしかのメッセージ」が込められているのかもしれません。
参考までに
⇒ 鉄の旋律のウイキペディア リメイク作品もあるのですね。
⇒ 日の丸文庫のウイキペディア 社長さんは山田さんですね。
秋田漫画文庫版128p~新聞広告の部分。この他の単行本等も、このまま使用されているのかは未調査です。赤塚さんの名前は修正が入ってもオカシクないかもしれないですね。
ハクダイ所有分。かなりに年季入ってます。新刊で買ったのか中古だったのかも、今となっては覚えていません(苦笑)。