新書判、第一ジュニア・コミックスの一冊として刊行。昭和43年5月10発行と、奥付に記載があります。
記憶が定かでないのが残念でならないのですが、昭和39年(1964年)生まれのハクダイが、一番最初に接した辰巳ヨシヒロ作品であった可能性があります。中学2年ないしは3年生だったでしょうか?高校進学後だったでしょうか?このあたりの記憶がハッキリしないのがなんともモドカシイのですが、いずれにせよ1970年代終わり頃か80年代初めの事かと思います。隣町の総合病院に行く必要があり(怪我?病気?)、母に連れられて、平日に学校を休んで出かけた病院の近くにあった古本屋で買ったように記憶しています。
この時、既に、辰巳ヨシヒロが劇画の名付け親である、ということを知っていたように思います。どうして知ったのか?これを考え始めると長くなりそうなので、今日は省略しますが(苦笑)。
収録作は4作。この新書判には、各収録作の掲載誌等の情報が一切ないのですが、青林工藝舎「大発見」年譜と照らし合わせると、つぎのようになります。以下、新書判収録順に、
(1)流れ者 49p/1965(昭40) 青春17号(集)
(2)新米先生 27p/1965(昭40) 青春13号(集)
(3)秀才教室 44p/1965(昭40) 青春12号(集)
(4)転校生 42p/1965(昭40) 青春9号(集)
みごとに、発表時期が新しい順になっていますが、とにかく昭和40年頃に描かれて発表されたモノです。
舞台が中学校なのか高校なのか?判然としませんが、そんな事はどうでもいいのです。どこか寓話めいた雰囲気も漂う架空の時代、架空の場所を舞台にした学園モノという感じです。無国籍アクション、という形容にならえば、まさに無国籍学園モノ。しかし、とにかく、その作品世界は殺伐さが感じられず、ユーモア感覚に溢れたモノ。青春山脈という単行本タイトルも、いい味というか脱力系というか(苦笑)。
辰巳ヨシヒロ作品群の中ではマイナーな部類の一群に入れられるでしょうが、捨てがたい魅力がある一冊です。ちなみに「かざま鋭二」先生の青春山脈(作:梶原一騎)より大分古い作品です(苦笑)。また、かざま先生は、佐藤まさあき氏のアシスタント出身 です。