コミック乱2016年7月号

リイド社斉藤發司(さいとうはつじ)氏の訃報に接して


平成28年6月8日に御逝去されました。心よりお悔み申し上げます。

マンガ家がその身内の助力を得て編集業なり出版業へ乗り出す事は、それほど珍しくない事かもしれません(一般的とは言い難いでしょうが)。ゴルゴ13が著名である事が大きいのでしょうが、さいとうプロの出版部門をその発祥とするリイド社についても、単純にそのような理解をする方が多いかと思います。漫画、マンガ、コミック、いずれでも構わないですが、近年幾分衰退の兆しが見え始めている業界かもしれませんが、依然として大きな影響力を持つ、コミック業界と言えるかと思います。

さいとうプロの創業時の昭和35年(1960年)のコミック業界が、社会的にどのような位置にあったのか?この視点が抜け落ちると本質を見失ってしまうと思います。

貸本マンガの業界で、自ら出版に乗り出したマンガ家たちとしては次の方々が居られます(敬称略、順番に特に意味は無し)。

 さいとう・たかを、佐藤まさあき、辰巳ヨシヒロ、桜井昌一、横山まさみち。以上すべて創業は昭和35~38年頃(他にも居るかもしれません・・・知らないだけで)。

また、時代がやや後になりますが、貸本マンガ以外では赤塚不二夫が、まんがNo.1を出していますし(昭和47~48、1972~1973)、虫プロ商事のCOM・コム(昭和42~48、1967~1973)も、大きく考えれば該当するかもしれません。

貸本マンガの場合、必要に迫られての出版業への参入という側面が多分にあるのかもしれませんが、こうして書き出してみると、リイド社の出版社としての実績がいかに突出しているかが分かるかと思います。

弟のさいとう・たかを氏に口説かれてコミック業界へ転身した、図式的にそう理解される方が少なくないように思いますが、いかがなものでしょうか?昭和35年当時の貸本マンガ業界の社会的な位置づけ(地位)への目配りが無いと本質を見失ってしまうと思います。安定したサラリーマンであった斉藤發司氏の「覚悟」を想像する(勝手に)想像するハクダイですね(苦笑)。

 アイキャッチ画像はリイド社のコミック乱2016年7月号。久しぶりに購入しました。現行、一番シックリくるマンガ雑誌かもしれない(苦笑)

以下訃報より一部を抜粋しておきます。(引用元サイトhttp://news.biglobe.ne.jp/economy/0610/atp_160610_6055914706.html )

弊社 創業者・代表取締役社長 斉藤 發司 儀 平成28年6月8日84歳にて永眠致しました ここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます 尚 通夜並びに葬儀・告別式は株式会社リイド社と斉藤家の合同葬をもって下記の通り執り行います
— 記 —日時 通 夜 6月15日(水) 18時00分〜
葬儀・告別式 6月16日(木) 10時00分〜12時00分
式場 宝仙寺 大師堂(東京都中野区中央2-33-3)
葬儀委員長 株式会社リイド社専務取締役  斉藤 哲人
葬儀副委員長 株式会社リイド社常務取締役  斉藤 人志
喪主 斉藤 静穂(ご令室) 形式 仏式(曹洞宗)

■故人略歴
株式会社リイド社 代表取締役社長 斉藤發司(享年84歳)
昭和6年12月14日、大阪府大阪市生まれ
昭和31年 神戸大学卒業
昭和35年 さいとう・プロへ参加
昭和49年 さいとう・プロ出版事業部を分離、称号を株式会社リイド社とし、代表取締役社長に就任
■会社概要
社名  : 株式会社リイド社
所在地 : 〒166-8560 東京都杉並区高円寺北2-3-2
創業  : 1960年4月
設立  : 1974年11月
事業内容: 出版事業
URL   : http://www.leed.co.jp/